無庵詩集62食いちぎる
- 2023/01/27
- 17:08
食いちぎる カラスが ゴミ袋を食いちぐる
痩せた黒猫が ゴミ袋を食いちぐる
痩せた男が ゴミ袋を食いちぐる
痩せた女が ゴミ袋を食いちぐる 太った豚が ゴミ袋を食いちぐる
ブヒ...
無庵詩集61 コサギの独り舞台
- 2022/10/20
- 15:18
コサギの独り舞台 秋の夕焼けを映した静かな川面に
一羽のコサギがエサを探している
つついては駆け
駆けてはつついている
白い翼を大きく広げ
まるで舞台の上で踊っているように見える
時にたたずみ遠くを見つめている
あゝ白いコサギの独り舞台
...
無庵詩集60
- 2022/07/18
- 11:06
別離 ぼくたちは遠い街を思い浮かべていたそこはいくつかの丘を越えたところにあったそこは雲と雲の間から光さすところぼくたちはどうして別れてしまったのかため息が灯りとなって陽となって通り過ぎてゆくあまりに遠い道筋を転がるように通り過ぎて行った風が引き裂いた花たちが引き裂いた草や木々が引き裂いたぼくは叫ぶ海に向かって叫ぶ空に向かって叫ぶ叫ぶ叫ぶ ...
無庵詩集59
- 2022/04/27
- 15:03
春あちらこちらから 春たちが押し寄せ 子供たちは 笑って笑って 泣いて泣いて、 怒って怒って しゃべってしゃべって 歌って歌って 暮らしていたそこにあるのは春 そこにあるのはタンポポ そちらにあるのはス...
無庵詩集58
- 2022/04/22
- 08:10
赤いテント少子高齢化が問題視されて久しい実は東大モトクラシ博士が 少子高齢化に歯止めをかける画期的な薬を発明したのです その薬を浴びるとたちまち若返るという薬です。人々が殺到するのを恐れた博士は広場に薬を吹きかけるシャワー設備を設置した赤いテントを張った。さあ! 大変だ若返りの薬を求めて人々が 並ぶ 並ぶ 並ぶ東大モトクラシ博士は絶叫する「 薬はたっぷりあります。押さないで! 押さないでえ‼ 」人...
無庵詩集56
- 2022/02/18
- 11:39
冬の日の夕暮れ 陸橋がゆがんだ影を落とす 冬の夕暮れの線路は 何故かもの悲しい 線路は緩やかにカーブして夕日に向かう 銀色の電車がカーブして轟音を残して通り過ぎる ...
阪神・淡路大震災
- 2022/01/09
- 14:20

冬の朝 「2020年1月17日 5時46分」冬の朝街が崩れた朝20秒の揺れ街を崩したあちらこちらからささやき声が起こりあちらこちらから悲鳴が上がります父が子供を呼びます母が子供を呼びます子どもが母を呼びます子どもが父を呼びます家が倒れています家と家が支え合って倒れています止まらない嗚咽歩いても歩いても家が倒れています冬 の 朝冬の朝街が崩れた 朝悲鳴の後の囁き 止まらない嗚咽あっちゃんが死んだ冬の夜若...